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屍鬼 第21話「第腐汰悼と悲屠話」
第21話「第腐汰悼と悲屠話」


今回も…長々と考えすぎな感想になりそう。。。


■人間って……麻痺する感覚と暴走する憎しみ
村人の感覚は益々麻痺し、極一部にこれ以上の殺戮は耐えらないと声をあげる者もいるものの…大半はもはや何の躊躇いもなく瀕死の屍鬼に止めを刺し、血塗れの手を拭って笑いながら、積み上げられた遺体の横で平然とご飯を食べるまでの状態に。

そして、最後には…今回の内情を殆ど知ってさえいなかった室井さんの母親と、寺の人たちがあらぬ疑いをかけられ惨殺されてしまう。

見境がなくなり、殺すことに慣れ、日常のように行っていくその光景は、ここ何週か見せ続けられている、もはや化け物退治などとはいえない…人間という種が時として見せる本質や醜さに溢れていて、やっぱり何とも言えないおぞましさを感じずにはいられない…。


多少脱線するけど、こういう一連の光景を見ながら…どうしても思い出さずにいられなかったのが、以前読んだアフリカのルワンダで90年代に起こった悲劇の実話を記録した『ジェノサイドの丘:ルワンダ虐殺の隠された真実』という本でした。


知ってる方も多いだろうけれど、その国では元々同じ言語を話すフツ族とツチ族がいたんだけど、ある日を境にフツ族による大量虐殺が起こり少なくとも80万人以上がわずか100日ほどの間に、目を覆わんばかりの酷い仕方でごく普通の隣人によって、虐殺されたんですよね。。。

勿論それに至る背景には一言では語れない歴史的背景や策略もあったんだけど…同じ国に暮らす同じ言語を話す昨日までの隣人同士で…屍鬼で描かれてる事と同じような、いえそれ以上の惨劇をも起こしうる人間という種。。。


仮に、今自分が抑えきれない憎しみを抱いて誰かに復讐し、一人の人間を殺したとしたら、やむにやまれぬ事情があったとしても当然罰せられるというのに、ある状況下では大勢で一度に殺し尽くしたとしてもある種の正義や理論の名の元に覆い隠され許容されうるという現実。


人間の唱える平和や、善悪、秩序なんて所詮矛盾だらけで…おまけに、1日のうちに崩れ去りうる危うく脆いものに過ぎないんだよね…という事を厭というほど思い知らされる。


しかもこれほどの虐殺を行っても生き残った者たちは…どんな形であれ生き続け、日常を送っていくわけで…惨劇のその後、憑かれたかのような興奮状態から覚めたその後の日常を想像すると…別の恐怖が襲ってくる。


ちょっと話がアニメからそれたかもしれないけれど、考えさせられるテーマは似通ったものもあると思うし…紹介したこの本も、よければ是非一度読んでみて欲しいです…文章的にも内容的にも決して読み易い本ではないけどね。


あ、それから…外場村では寺の存在は現在の通常の日本の社会のそれよりもはるかに大きな存在で重要なものであったはずなのに、問題の解決にも、村の人々の助けにもなりえなかったという事実は…改めて「宗教」の無意味さをも、物語ってる気がする。所詮は都合がいい時の一定の用を足す存在に過ぎない。ルワンダでは…無意味ならまだしも、逆に悪の元凶の一つでもあったしね(苦笑)





■絶望の中から生まれた自分
静信の描く小説内の、兄が殺害した弟とは自分自身の絶望が生み出した自分自身だった。

その弟は世界との接点。同時に絶望の接点。

彼のいた丘は(神)の支配下にあり、その神に気に入られるように善き人間を演じてきた。自分を押し殺し、丘を嫌悪し、侮蔑しながら…それでも、そう生きるしかなかったから。特殊な枠組みの中で、そうする事で静信も村と接点を保ち続けていたんだよねきっと…抑えきれない矛盾を自分のうちに抱え込みながら。

でも、その生き方自体を憎み、自己嫌悪の念を抱き続けていた為に、自分の中の弟を殺そうとした。でも弟を殺せば、自分という存在が成り立たない…自分が存在しえないという事実を否応なく自覚し、一層の自己嫌悪が襲ってきて・・・一層自分自身に死にたいほど失望を覚える事になるというのに・・・。それを自覚しないままに。

今ようやくそんな自分のこれまでの心の動き全てを知りえるようになって…静信はどんな結末を迎えるつもりなんでしょうね。


■死は平等に臨む…?
遂にそれぞれの最後を迎えた何人かをまとめて簡単に。

まずは村迫正雄。
ある意味スタッフにも愛されてたんじゃないだろうかという正雄の結末も例外なく悲惨なものに…。

まぁ兄嫁の智寿子は正雄が自分の子を陰で苛めたり、自分にもいやらしい目を向けてきていた事に気づいていて生前から正雄を嫌悪していた訳で、しかもいまや完全に屍鬼の殺害に慣れ切った智寿子に躊躇いなどあろうはずもなく…今この状況下で家に帰って匿ってもらえると考える正雄の思考の能天気さの方に呆れるぐらいなんだけどね…でも、正雄が最後の最後に救いを求めたのが自分の家だったというのは…なんとも哀れか。


桐敷正志郎。
虐げられた復讐を望みつつも自らの手ではそれが出来ず、結局は人間社会の縛りの中で生きていた正志朗…それなのに人間社会の秩序や常識からはかけ離れた存在を知るや、その者たちに自分の願望を託して、そちら側に立とうとしながらも…自分の場合起き上がる可能性が極めて低いという事で一度死ぬ勇気も持てな かった正志朗…そんな男にふさわしい哀れな末路がこれか…って感じ。

まさか、夏野に噛まれ操られて、人狼を撃つ役割にされるとは、ある意味この人にとってはそれまでの選択全てを否定されるかのような、最も酷い仕打ちだったんじゃないだろうか。。。

それに何だか、いろんな面で消化不良のままの人生のような気もするよ…結局この人の人生は凄く虚しいまま終わりを迎えることになりそう。。。


室井信明。
静信の父親も基本、静信と似たような絶望を抱えていたようで。

しかもそれに加えて、数年前から寝たきりになった事で、一層虚しさを抱えていた…そんな時に屍鬼による襲撃を知り、この人の場合は賭けたんだよね…『死んで蘇る』第二の人生に。

ところが、その賭けに勝ち、起き上がれたはずなのに…待っていたのは『起き上がっても蘇生以前に遡ってそれ以前の損傷までをも修復するわけではない』という残酷な現実だった。

そう遠くない未来に寝たきりの苦しみには死という終わりが来るはずだったのに…このままでは終わりのない苦しみを味わい続ける事になると知った時の、この人のさらなる絶望は…発狂せんばかりのものだったはず。。。

今回殺される…殺してもらえると知って感謝で手を合わせたくなった気持ちも理解できるというもの。

それにしても、この人が屍鬼になりたいと感じた動機自体は理解出来なくないのだけど…その浅ましさに、何とも言えないやるせなさも感じてしまう。


国広律子&武藤徹。
せめて先週のあのまま安らかに、二人で眠るように逝ってくれれば…と、願っていたのだけど。。。

二人の胸にはしっかりと杭が…。他の屍鬼同様、眠る二人に止めの瞬間の苦しみが訪れたのだろうか…哀し過ぎる…。

せめてその前に二度目の死が訪れていてくれたら良かったのに、あの杭はそんなささやかな救いすらも許さずに打ち砕く残酷で容赦のない杭に見えて仕方なかった…(ノ_-。)


■滅びの美学とはまた異なる美しさ?!
『眠りたくない』と嘆く沙子。

終わりを迎える瞬間、起きてさえいられないというのは…確かに無念で、悲しすぎる事だと思う。

別れたくない相手が傍にいて、抗えない終焉がすぐそばに来ていて…なのにどれだけ意志の力を働かせようとも眠りに落ちてしまう。目覚めるのは杭を打たれる瞬間…本当に何と脆くて弱くて哀れな生き物なんだろう屍鬼という存在は…。

そんな避けようのない眠りの前には・・・もはや生に執着せずに自ら死を選び、華々しく最後は戦って散ろうとすることさえ許されない、絶対的で絶望的な弱さが横たわっている感じ。

罪の意識に苦しみながらも(アニメだけではこの辺は描写不足かもだけどね)、否応なく生に固執するしかなかった沙子の気持ちも理解出来なくない気がするよ。。。

そして…そんな、沙子の為なら自分の命をも賭けて囮になるという辰巳。

『生き物としての優劣は関係ない。むしろ個人的な感情の問題です』と言い切る辰巳が個人的には、ある意味清々しく感じてしまう。

アニメでは言わなかったけれど辰巳自身は自分の事を『虚無主義者』だと言うんですよね。人間の存在に何らかの深遠な真理や意味や価値などあるわけじゃないと。全てのものは滅びるし、意味なんて霧散して消え去ってしまうに過ぎない。

だから、沙子のように人ではないのに人であろうとしたり、罪の意識に苦しんだり、自分の存在の是非に悩むのは愚かだと。だけど、滅びの象徴で最もそれに近い沙子が必死に愚かに抗う姿は見ていて見応えがあって惹きつけられ『綺麗だと思う』と。

それだけで、他の全てを犠牲にしても沙子を守ろうとする辰巳の行動は賛否両論かもしれないけれど…分かる気がするんだよなぁ。。。


さて…長々と書いてしまったけれど、いよいよ次回はラスト…ほぼ小説版通りになりそうな気もしてきたけれど、どんな結末が待っているのかな。。。


20話の感想はここ









(キャスト)
結城 夏野:内山 昂輝
尾崎 敏夫:大川 透
室井 静信:興津 和幸
清水 恵:戸松 遥
桐敷沙子:悠木 碧
辰巳:高木 渉
桐敷千鶴:折笠愛
桐敷正志郎:GACKT
村迫正雄:高橋伸也
田中かおり:長嶋はるか
田中昭: 川上慶子
国広律子:ささきのぞみ
武藤徹:岡本信彦
結城:遠藤大輔
小出梓:石川綾乃
汐見雪:葉山いくみ
武藤:内匠靖明
武藤葵:斉藤佑圭
武藤保:内匠靖明
矢野加奈美:野浜たまこ
矢野妙:片貝薫
大川富雄:石井康嗣
大川篤:松田健一郎
村迫宗秀:塚田正昭
村迫宗貴:増田隆之
村迫智寿子:寺門真希
村迫博巳:鈴木美咲
伊藤郁美:ならはしみき
松尾静:飯野茉優
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返信とか近況とか一言感想

アニメの方は、毎期視聴本数が減っています。。。

yutanpoさんへの拍手コメ返信
自分ではいつも「あーもっと上手く伝えられたら…」と思いながら書いているのですが、褒めて頂いてありがとうございます。
確かに、指の組み方は左親指が上、腕の組み方は右腕が上です(゚□゚;)!
「CLAYMORE」アニメの方は分からないですが、数年前に友人宅で何冊か読んで、その時「面白そうかも」と思ったのにそのまま放置していました。完結したんですね、近いうちに購入して読んでみます。

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