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大量虐殺を引き起こす方法と動機。。。
読んだ本の紹介です!このカテゴリーのブログ記事を書くのは実に1年以上ぶり!本当に久しぶりです(苦笑)

本の場合は移動中や、ちょっとした空き時間を利用して読んだりするので、この期間中にも読書自体はしているのですが、書く事をサボり過ぎですね(汗)

今回紹介するのは『虐殺器官』伊藤 計劃 (著)



タイトルは刺激的ですし、悲惨な死の描写も描かれていますが、決して残虐描写を売りにした作品ではありません。

簡単なあらすじ:先進諸国では徹底的な管理体制が敷かれテロが一掃されたものの、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米国情報軍の特殊部隊に所属し、主に暗殺などの濡れ仕事を行うクラヴィス・シェパード大尉は、そうした大量虐殺の陰に常に存在が囁かれる謎の男ジョン・ポールを追う事になる。大量虐殺を引き起こす方法とは?虐殺の器官とは何なのか?そして、その男の目的は一体?



ジャンル分けをするなら、この作品は近未来SFという事になるのでしょう。事実、この作品は「ベストSF2007」「ゼロ年代ベストSF 」第1位に輝いている作品です。

でも、個人的にはSF的な世界観を楽しむ作品ではない気がします。さらに言うなら、ミステリー的な要素、虐殺の器官とは何なのか?という謎解き要素も確かに含まれてはいるのですが、それを楽しむ作品でもないと思います。

勿論、近未来に十分起こり得る世界の形、近未来のテクノロジー、近未来の戦争の形もよく描かれているのでそこにリアリティーや、不気味さを感じる事で惹きこまれる部分もあるでしょう。

でも多くのSF小説で感じるような、一種のワクワクさせられる気分を求めて、あるいは傭兵や特殊部隊員の超人的な活躍を期待して手にとるとすれば…評価は微妙なものになるかもしれません。



この作品は、そういうエンターテイメント的な要素の強い、気軽な気分で読めるタイプの作品ではないからです。あとがきの解説部分によれば、作家の佐藤亜紀さんがこの小説の事を『一読して感じいったのはその繊細さだ。題材に対する繊細さ。その背景の現実に対する繊細さだ』と語ったようですが、私自身も読んでいてその「繊細さ」という部分を最も強く感じた気がします。

そして、その繊細さをもって語りかけてくる内容に、時に打ちのめされかかり、惹きこまれ、しばしば読むのを中断したくなる事も…。


この本を読んでいると、良心の声とはなんなのか?罪とは?罰は?人間の自由意志とは?…といった人間という種の本質的な部分にも、問題を突きつけられてくるように感じます。
さらには自分の思考や感情と照らし合わしながら、人の脳、感情って…どうしてこうも厄介なんだろう…と、改めて感じる事も・・・。


そして、物語が終息を迎える時にも、きっと多くの方が何ともいえない気分にさせられる筈…。
謎の男は、どうしようもない絶望と哀しみを抱えて行動しているのだと思っていたのに……これが動機だったのか…と…。

そこには、現在現実に見られる“ある状況”への痛烈な皮肉を感じさせます。
でも、それは結局のところ一部の人間や国に限った事ではなく、ある意味人間という種そのものの本質でもある故に…どうしようもない虚脱感、怒りさえ感じずにはいられなかった。


そして、主人公の取った最終的な行為にもきっと、人それぞれの何らかの衝撃を受ける筈。。。


是非、最終的に謎の男と、主人公に何を感じるか…実際に読んで確かめてみて欲しいです!



伊藤計劃さんは、闘病生活の中小説を書き始め、長編小説は3作品(オリジナルは2作品)しか遺せていないようです。凄く残念ですが、是非数少ない貴重な他の作品もいつか読んで紹介したいと感じています。


あくまでも管理人の個人的な好み
★★★★★★★★★☆(10点満点中9点)





(最後に、この作品への批判の一つに主人公の幼い陰鬱さがあるようです。確かに、当初主人公は少年兵なのか?と誤解したほどに、成熟できていない部分があります…そして、それは基本的に最後まで続きます。でも、あとがきにも書かれているのですが、主人公の置かれている状況を考えれば、その理由は理解出来る筈で…批判理由にはならない気がします。)

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日頃の怒りや恨みつらみ

人間賛歌なんて読みたくもない…という人にはお勧めかも知れない。

そんな本『センチネル・ヒート』著:高平 鳴海の紹介です。

作者があとがきの部分で「自分自身の『ヘイト』に溢れた本だ…日ごろ抱えてる怒り、恨みつらみを封入するつもりで書いた。…登場人物は感情移入しにくい嫌な奴が多いと思う」と書かれているとおり、読む人の好みによって差はあるでしょうが主人公を含め魅力的な人物は殆ど出てきません。


『センチネル・ヒート』

  • まず物語の大まかな内容ですが、未知の生命体が地球に繁殖し始め、生物の住めぬ“ゾーン”を造りだしてしまった中南米地域へ人類の生存圏を取り戻すための部隊が投入されるものの作戦は完全な失敗に終わり、残された僅かな生存兵たちが極限状態の中、生きて帰るための戦いを続けていく。果たして生き残れる者はいるのか…という中での人間ドラマを描いたSFサバイバル(バイオレンス)です。

冒頭でも匂わせたように好みはかなり分かれる本だと思います^^;


私は元々主人公がアンチヒーロー、アウトロー的な登場人物というのは好きです。でもそんな自分でも、この本の登場人物たちには欠片も…魅力は感じなかった(苦笑)


決して自分がアンチヒーロー的な本を読む際の必須条件ではないのですが、あくまでも好みとしては…どれだけ悪や醜さを抱えてはいても、やはり悪どさの中にも一定の共感できる信念をどこか一つでも持っている人物…あるいは、諦念の中にどこか哀しみの見られる人物の方が好きなんでしょうね(苦笑)


だから逆にアンチヒーローにそんなものを全く求めない!という方には…この本はいいのかもしれない。

それに、確かに現実はトコトン醜いケースはそれなりにあると思う…どんな悪い奴でも、それなりの理由があり角度を変えれば哀しくなる理由も抱えているなどと考えるのは幻想に過ぎないとも思う。
だからたまには…全く魅力を感じない人たちばかりの本を読むのも全然ありだと思う…。SFとかサバイバルという要素自体は好きだしね。


ただ…これも自分の好みかもしれないですが…別に人間賛歌ではなくてもいいんだけど…どんな人物にも背景は必ずあるわけで…その辺の描き方が薄い気がする。


それと…どうせ人間賛歌にする気がない『世の中くだらねぇ』『希望なんかない』とい作者自身の意図があるのならトコトン救いのない後味の悪い終わり方にして欲しかった気がするんですが…どうでしょうか…。うーん、確かにあの終わり方は…ある意味では『救いのない』終わり方なんだけどね…これも好みかな…。色んな面で個人的には物足らなさ感が残ってしまったけど…。


あくまでも管理人の個人的な好み
★★★★☆☆☆☆☆☆(10点満点中4点)




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最強の敵になりうるウイルス…。

未知のウイルスの恐怖…もしも驚異的な致死率の強毒性ウイルスが私達を襲い、治療法もないままパンデミックになったら…当然未曾有のパニックになるはず…。


時期が時期だけに最初に言っておきます…『感染列島』というフィクションの話です(汗)


映画も気になってたんですが、少々女優を綺麗に描き過ぎててリアル感が薄れてるのでは?!って声を聞いて…あくまでも好みでしょうが、文章で読んだ方が自分は楽しめるかなと思ってノベライズ版の方を読んでみました。


感染列島 映画ノベライズ版平野隆/原作 下田淳行/原作 瀬々敬久/映画脚本 映画「感染列島」製作委員会/監修 涌井学/著【セブンアンドワイ】

突如東京を襲う未知の感染症、丁度都内の養鶏場では鶏が大量死する鳥インフルエンザが発生していた…長らく予想された新型インフルエンザなのか…?!

WHOからもスタッフが派遣され、今まさにリアルでも話題になっているPhaseが引き上げられ事態があっという間に深刻化していく…治療法もウイルスも特定されないまま拡大していく未知なるウイルスの感染爆発…驚異的な致死率…最強の敵を前に無力さを痛感する医師たち…。


人々はパニックに陥り、人としての醜さを露呈していく…同時に人として生きるための懸命の戦いや、友情と恋を命懸けで表現していく…。

最初にフィクションと書いたとおり、これだけの強毒性の未知のウイルスの割には少し都合が良すぎる展開かなと思ってしまう箇所もあります。
それに、人間ドラマが織り込まれ過ぎてて綺麗に作りすぎてるかな…という側面も…。


ただ…人類が経験したことのない強毒性を持つウイルスが、突如ウイルスの変異によって誕生する…あるいは、人類がまだ触れていないだけで間違いなく存在している未知のウイルスに偶然接触する事でエボラのように突如人類の前に姿を現す…その結果人類を襲う最強の敵との未曾有の危機がある日突然襲い始める…そんな可能性自体は否定できないですよね。


折りしも時期が時期だけに、最悪のシナリオが進行した時にどういう事態が可能性として考えられるのか…強毒性のウイルスの怖さ自体は大袈裟過ぎる話ではないよなぁ…と感じれる点でも一読の価値はあるかな。


管理人の個人的な好み
★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)



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自ら命を絶つのはいけないことですか…殺すのは悪ですか

東野圭吾さんの『パラドックス13』の紹介です。

「世界が変われば善悪も変わる。 人殺しが善になることもある」そんな著者の言葉に興味を覚えて読んで見た作品です。これは読んだ小説の中で久々にかなり面白かったです!

「パラドックス13」東野圭吾/著【セブンアンドワイ】

  • 《宇宙科学研究本部−高エネルギー天文学研究所から首相にとある宇宙的な現象が間もなく起こるであろう事が報告されるところから話は始まります。しかしその現象が起きたときに実際に何が変わるのかを論理数学的に把握する事は不可能だと言う。そして運命の日3月13日13時13分13秒…想像を絶する過酷な世界が出現する、陥没する道路。炎を上げる車両。崩れ落ちるビルディング。破壊されていく東京に残されたのはわずか13人。その後も頻発する大地震、洪水…。なぜ彼らだけがここにいるのか。彼らを襲った“P-13
    現象”とは一体何なのか…》

読み始めた冒頭は「論理数学的に…」などと言った言葉が出てきたために、謎自体が凄く難解なのかなと思いきや…意外とその現象が起きた直後に生き残った人々の共通点はすぐに分かり、一体どういう状況なのかすぐに掴めました。

しかしその後の話の展開は上記の紹介でも分かるように、パニック映画さながらの展開で進んでいきワクワクさせられます。その手の話が好きな方はそれだけでも十分楽しめるはずです。

しかし、単にそれだけでは留まらない生き残ろうとする人々の間で繰り広げられる極限状態での人間関係が本当に重厚で読み応えがあります。しかも、それらの人々の言動を通して…生きる目的とは何なのか…自ら命を絶つのは本当にいけない事なのか…人を殺す事はどんな時も悪なのか…社会の枠組みの中で尊重すべき事とされてる事を守るべき理由は何なのか…といった既存の概念や、倫理感、人生観についても考えさせられます…。

勿論、話の展開への興味を抱かせつつそうした考えさせられる点が巧みに織り込まれているために、妙な説教臭い話にはなっていません。

とにかく読み始めたら止まらず、一気にあっという間に読んでしまいました。ラストは…こういう結末になって欲しくはなかったな…という個人的な好みの問題で残念でしたが…それは単に好みの問題で最後まで楽しむことが出来ました。うん、久々にこれは個人的にかなりお勧めです。


管理人の個人的な好み
★★★★★★★★★☆(10点満点中9点)





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シャングリ・ラ上・下の紹介

シャングリ・ラがアニメ化という事なので原作のほうの簡単な感想です。




「シャングリ・ラ」池上永一/〔著〕【セブンアンドワイ】

物語の世界観は温暖化が加速し、炭素放出に対する苛烈なペナルティが国連主導でなされる新たな経済システムが立ち上げられた世界のお話です。

その対策のために日本政府は都市を積層都市へと移行させ、東京の町並みの大部分を急速に森林化する政策をとる。しかし、急速な森林化と空中都市建設は様々な弊害をもたらし…取り残された人々と積層都市に住める人々との間の貧富の格差や階級制度、権力闘争やマネーゲームのエスカレート、反政府ゲリラの存在、植物を遺伝子操作までして急速に密林化したための森からの脅威などが深刻になっていく。しかもそこにオカルト的な要素も加わった謎が加速し主人公たちは過酷な運命に翻弄されていく。

こんな風に少し世界観を書き出しただけで、個人的な好みをついた面白い世界観の設定で、黒幕の目的は何なのか楽しみながら読めました…。


一方で残念な事に、あまりにありえない展開が多すぎて…普通はそういう現実にはありえない展開だとしても、あくまでもその世界においては起こりうると感じさせてくれるリアリティーを加味してくれるものですが…この作品はそれが足りないんですよね。伏線も投げっぱなしの箇所があるし…。

だから過剰な荒唐無稽さをも純粋に楽しめるかどうかが、この作品を受け入れられるかどうかの人によっての分かれ目になるかな…。

それから、主人公の北条國子は天才的な身体能力と動物的な不思議な勘の持ち主の少女で強烈なカリスマ性を持つ設定なんですが…確かに素晴らしい活躍は見せるものの、個人的には心情描写などが不足してるからかな…読んでいる限り、そこまでのカリスマ性や魅力を感じられなかったんですよね…。
それは他の登場人物についても実は同様でして、魅力的な要素を持つ個性的な面々がたくさんいるのに、あくまで素人の私の個人的な感覚からみると活かしきれていないもったいなさを感じるんです…。


ただアニメ化は実は期待しています、映像になると登場人物たちの魅力はかなり増しそうな気がしてますし、話の設定自体は非常に面白いものがありますからね描き方次第では凄く楽しめるものになる可能性はあるのではないかと…。

それに小説、アニメ、コミックはそれぞれ別の展開を見せるというのも個人的には期待してる要素の一つです。

あと…原作小説の登場人物の中にはかなり残虐…どころか、相当歪みきった行為に走る人が複数いますので、アニメ化の際にあれを全て映像化するのはどう考えても困難でしょうね…その辺がどこまで描写され、どんな点が変化するのかも楽しみかな。


管理人の個人的な好み
(★★★★★☆☆☆☆☆10点満点中5点)





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怪物は…そう、どこにでもいる

今回紹介する小説は自分の部屋にドアスコープを付け、部屋からも殆ど出てこない引きこもり生活を送る19歳の良太を中心に据えた作品です。


「怪物が覗く窓」吉村達也/著【セブンアンドワイ】

その良太を「怪物」と言い切り嫌悪する父親。夫のその発言に憤りながら深層心理でやはり息子を「怪物」と感じ怖れる母親。「キモイ」と家を出て30代の男と同棲を始めた高校生の妹。そんな家族の向かい側に、ある一家が引越してきた事から、閉塞しきった良太の人生に転機が訪れる。

部屋の窓から目が合った向かいの若い女性に良太は惹かれ、その感情は彼を久々に表の世界へと誘い出すことになる。そして…その後程なくして女性は何者かに殺害されてしまう。誰が殺したのか…良太は本当に怪物なのか…怪物は他にもいるのか…。

そんなお話です。

ジャンルは新感覚ミステリーとなっていますが、いわゆる読者が自ら犯人や動機を推理する事を堪能出来るタイプのミステリーではないと思います。
もちろん、そういう側面が皆無という訳ではありませんが、それを楽しむにしては伏線が少なすぎるように感じましたから…。
きっとそういう期待を抱いて読むと物足らなさを感じると思います。

でも人間の心の闇、病んだ社会にゾッとさせられ…考えさせられるそんな作品です。
『引きこもり』だけではなく現実に社会で起きてる数多くの問題が絡んできます。
そして私達は間違いなく『病んだ社会』に生きているんだろうな…という事に改めて気付かされます。

そして誰でも、いつ自分が同種の問題に直面し人生が狂うか分からない。さらには、一方的な狂気の標的になり命を奪われてしまうか分からない。そんな現実の怖さを感じるかも…。

個人的なマイナス要素としては、良太以外の狂気の原因も…もう少し深く描いて欲しかった気はしますが…。
それでも、結婚相手の条件、自分の生き方、家族の在り方、仕事への理念、憎しみをどう処理しているか等…。登場人物の誰に目を向けるかによって十分に色々考えさせられる作品だと思います。
同時に犯罪被害者になってしまった女性が哀れで…こんな人生の終わり方を迎えている人がいる現実に悲しくもなります。

もし心の闇、心理的な面、現実の問題に焦点を当てた作品が読みたいなら一読の価値はあると思います。


管理人の個人的な好み
★★★★★★☆☆☆☆(10点満点中6点)



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古代の呪詛が現代に蘇る

「壺空 聖天神社怪異縁起」著:平谷美樹

ジャンルは長編伝奇ホラーです。

実はこの作品は「呪海 聖天神社怪異縁起」の続編にあたります。もちろん、1作目を読まれてからの方がより楽しめるでしょうが、話自体は分かれていますからこれ単独で読んでも何の問題もなく楽しめます。


「壷空 聖天神社怪異縁起」平谷美樹/著【ブックオフオンライン】

東北地方の縄文と弥生双方の痕跡を残す、とある遺跡発掘現場にて過去に例のない土器が発掘される事から物語りは進展し始めます。

口のない壺。しかもその内部は空洞だった・・・すでにこの時点で異常なんですよね。。。
通常なら粘土をよく揉み込まずに空気が入り込んだまま焼き上げると、ほんの小さな気泡でも熱によって内部の空気が膨張し破裂するはず…。
しかしその土器は間違いなく繋ぎ目のない口のない土器であるにも拘らず中が空洞だった。異様な迫力を滲み出すその壺にはどんな秘密が隠されているのか…。

その土器は円周上に等間隔に八個設置され、中央にそれより大きな同種の土器が1つ配置された形で埋まっていたのだが、そのうちの2つは埋まっているべき場所からは発見されない…。
1つは発掘現場のすぐ傍で偶然発見した男が「お宝」だと思い込み持ち帰っていたし、もう1つは少し離れた沼地跡から(重要なネタバレになるゆえに詳細は書けませんが)驚愕の状況で発掘される事になる。


人の心の底に眠る欲や恨みの感情をも巻き込みながら、古代の民のかけた呪詛がじわりじわりと蘇り始める…。

登場する普通の人々、霊感など全くなく霊的な存在など信じた事もなかった人々がありえないと思いつつ…徐々に恐怖に染まっていく描写は真に迫っていて引き込まれる。

一方、物語の中盤から登場する主人公は一応古代から続く神社の宮司の息子であり、底知れぬ霊的潜在能力があるようだが、眠ったままのその力は非常に心もとなく、万能の力で持って事件をあっという間に解決する訳ではないので…ラスト近くまでは得体の知れないものに対する怖さを周りの普通の人々の目で楽しむ事が出来ると思う。


ただし、この種のものを読みすぎてる自分にとっては、やはりラストの展開に多少の不満を感じてしまうのですが、それを考慮しても十分楽しめた作品だといえるでしょう。

単に怖がらせ展開がどうなるんだろうとワクワクさせられる要素だけではなく、古代に対するロマンも刺激され謎に引き込まれ、なおかつ現代の人の業の深さも盛り込んで質の高い物語を楽しめると思います。



管理人の個人的な好み
★★★★★★★☆☆(10点満点中8点)






「呪海 聖天神社怪異縁起」

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怨みは制御できなくなる

第13回日本ホラー小説大賞短編賞の受賞作品「サンマイ崩れ」と書き下ろし中篇「ウスマサ明王」が収録された「サンマイ崩れ」著:吉岡暁を読みました。


どちらも所々にお経を唱える人物が登場する純和風の若干古典的なホラーって感じです。


「サンマイ崩れ」吉岡暁/〔著〕【セブンアンドワイ】


まずは一つ目の短編「サンマイ崩れ」は

  • 台風による土砂崩れで墓地が崩れ、人骨が露出しているのでとりあえず応急処置に向かう事になった精神病院を抜け出してきた主人公と、対策本部に依頼に来た老人ワタナベさんと二人の消防団員だが……実は…というお話。

展開の妙は見事です。
読み終わった後間違いなくニヤっとさせられるかと…
主人公がパニック障害と離人症性障害だという設定も…活きてます。


「ウスマサ明王」の方は絶望し恨み一歩踏み出した怨みは制御出来なくなりって感じでこちらは一転激しくグロい展開です。

  • 明治39年に生きた家族と現在の異常な事件を交互に描きながらウスマサ明王と真っ赤な眼を持つその使い奴(下僕)の謎を追い対峙していくお話。

これは怪談的な怖さという古典的な要素を多分に含みながら、現在的な要素である陸自の特殊部隊が未特定生物を追うという形を取っていて展開的には巧さを感じます。


こんな風に2作とも展開は巧いなぁと思うんだけど…
なぜかどちらも、怖さはあまり感じないんだよなぁ…特にこの「ウスマサ明王」は個人的に非常に面白くなりそうで、怖さもじわっ〜ときそうなのに、登場人物に感情移入がしにくくて何か物足らない感が…
とにかく怖さを求めたい方には不向きかも。。。


あ、怖さを感じないのはもしかするとホラーも読みすぎて耐性が出来すぎてるのも影響してるかもしれませんが…


管理人の個人的な好み
★★★★★☆☆☆☆☆(10点満点中5点)



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答えの出ない真実をたまには探求してみては

ちと大げさななタイトルを付けて見ましたが古代日本の歴史に目を向けるのも面白いですよ〜って話です(苦笑)


古代の日本の風景というか歴史ってどうにも定かでなく謎に包まれてるじゃないですか。
残されてる歴史書にしても荒唐無稽な神話に彩られていて一般的に事実として受け止めるには無理があると考えられているし…


ただ個人的には書き残されてる事が全てその通り起きたとは、もちろん信じてませんけど、その全てが作り話というよりは何らかの事実が隠されている、あるいは何らかの事実の一片が含まれてるとは思うんですよねぇ…ま、そう思うほうが面白いってのもあるんですけど(笑)


だから今回紹介する本は小説ではなく歴史雑学の本なんですが、著者もまさにそういう書き出しで始まっていて個人的には非常に興味をそそられる本なんです。
「天孫降臨の謎−『日本書紀』が封印した真実の歴史」著者:関裕二



「天孫降臨の謎」関裕二/著【セブンアンドワイ】

読んでいくと日本の古代に目を向ける際に欠かせない一族、日本書紀の神々、勢力が多数登場してその謎に対する著者なりの仮説を繰り広げています。
例えば、天皇家、物部氏、蘇我氏、秦氏、隼人、卑弥呼、トヨ、邪馬台国、出雲、吉備…などまぁ多少古代史に興味があれば周知の名前がずらっと登場し引き込まれます。


こういう類の本を多数読んでるので、今回の著者が繰り広げる仮説全てをその通りだと思った訳ではなく、部分部分では他の著者の繰り広げる仮説の方が可能性が高いと思える箇所も、もちろんあるんですが、それでも事実がどこにあるか分からないからこそ面白い。


それにこういう本である程度の知識を得ているだけで随分、古代や神話を題材に織り込んでる小説、ゲーム、アニメなども楽しみが増すと思うんですよ。
という訳で、是非たまにはこういう本もいいですよ!


ただ、この本はこういう類の本の中でも多少難解な部類に入る気はします(苦笑)
好きな自分でもそう思いましたから初めてこの手のジャンルに手を出すなら、これよりも別の著者ですが「逆説の日本史」シリーズなんかのほうがいいかなぁ…
でも、元々興味のある方または活字好きな方には是非一度読んでみて欲しい作品ですよ。


管理人の個人的な好み
★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)



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マタンゴ−最後の逆襲−

マタンゴ−最後の逆襲−著者:吉村達也

1963年公開の東宝制作の特撮ホラー映画を東宝の許諾を得て続編という形で書いた作品のようです。


「マタンゴ 最後の逆襲」吉村達也/〔著〕【セブンアンドワイ】


1963年−自分が産まれるよりも、かなり前の映画なので、勝手な偏見というか…この情報を知ったときは…
正直、「えー、そんな昔の特撮映画の続編?!面白いのかー?しかもキノコ?何やってんだよ吉村さん(苦笑)」
って感じだったんですが…

ところが読んでみると、これが予想以上に面白い!

  • 樹海の奥深くに大型ヨットが浮かび、人型のキノコの化け物が現れるという都市伝説の真偽を確かめる為に、都市伝説研究会の男女7人が樹海に入る。

    その10年後、それぞれテレビキャスター、生物化学兵器テロ対策室の細菌学者、山梨県警捜一の警部、宇宙ビジネスプロデューサー、宇宙飛行士、ホラー作家、人気女優となり、かつての悪夢の記憶を失ってそれぞれの生活を送っていた7人だが…彼らの上に悲劇が…

かなり、簡単に言うとこんな感じなんですが…おもわず「えー、キノコの化け物?」と引き気味にこの本の面白さを疑いたくなるのは自分だけではないはず(笑)

実際、登場人物の中にも「キノコ?それじゃ、ホラーにもならなくてお子様向きの漫画だろう」と、馬鹿にする場面が出てきます。でも、知ってると思いますがキノコってのはあくまでも菌の一種なんですよ。で、菌は怖い!


例えば、これも本文中に出てきますが漢方などに使われるホンモノの「冬虫夏草」は地中深くに潜っているコウモリガの幼虫にある種の菌が寄生して徐々に身体をのっとり地表に植物のように顔を出してくるのが「冬虫夏草」…この場合は幼虫ですが…


ま、他にも色んな情報を絡めながら、しっかり「荒唐無稽」過ぎない為のフォローを入れてくれているので、読み始めれば話に引き込まれていくと思います。

あ、でも「怖さ」はないかな…ゾクゾクはしない!どちらかというと、ワクワク。


ただ、総ページ数が583ページ!自分は時間的にはあっという間に読み終えましたが、長い小説を読みなれていない人にはキツイかも…
あと、中盤までは間違いなく相当ワクワクしながら読んでいたんですが…うーん後半は少し期待はずれに…

前半ここまで読み応えを感じたのに何故だろう?と、自分なりに考えて見たんですが…
おそらく、これは自分が映画を見ていないからだろう!と思う、映画とリンクさせる状況が後半以降増していってる感じなので…

だから、きっとその東宝の映画をリアルタイムで見た人にとっては、相当面白いのではないかと思います。


管理人の個人的な好み
★★★★★★★☆☆☆(10点満点中7点)



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IHクッキングヒーター

返信とか近況とか一言感想

アニメの方は、毎期視聴本数が減っています。。。

yutanpoさんへの拍手コメ返信
自分ではいつも「あーもっと上手く伝えられたら…」と思いながら書いているのですが、褒めて頂いてありがとうございます。
確かに、指の組み方は左親指が上、腕の組み方は右腕が上です(゚□゚;)!
「CLAYMORE」アニメの方は分からないですが、数年前に友人宅で何冊か読んで、その時「面白そうかも」と思ったのにそのまま放置していました。完結したんですね、近いうちに購入して読んでみます。

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コメント等歓迎ですが返信はかなり遅くなってしまうこともありますm(__)m



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